アメリカの医師は(も)疲弊している、医師という職業を人には勧めない?

NPやPAについてではなく、MD(医師)に関しての記事ですが、アメリカの医師も疲れているのですね。ご存知のように、給料と地位と人気の低い、プライマリケア医に関しての記事です。

ひとりで開業している人は(少なくとも都会では)まれで、普通、何人かで組んで(そのうちのひとりがNPだったりするんですが)開院しています。夜などは伝言だけ受け取ってくれるanswering serviceに頼んで、彼らがオンコールの医師(かNP)の携帯に連絡するという仕組み。
だから、週によっては携帯を取らなくてもいいのですが。
そんな協力体制で臨んでいても、疲弊している様子が伝わってくる記事です。


Many Doctors Plan to Quit or Cut Back: A Survey
医師の多くは引退するか、労働を減らす考えである:とあるアンケートの結果

記事全文は:
こちらで
(記事のおおまかな内容を訳してみました。コメントは最後についています。)


アンケートに応じたgeneral practice(プライマリケアなどをやる、外来医のこと)をやっている12,000人の医師のうち、約60%が医師という職業を人には勧めないと答えている。

「(医療は)アウト⋅オブ⋅コントロールだ。患者を診るのは大好きだが、早めの引退を考えている。」(注1)とは、ひとりの医師のコメントだ。
このアンケートにより、専門家の医師は多いが、内科やファミリー科の医師は不足しているという現状が今いちど確認された。
(中略)
78%の医師は、プライマリケア医が不足していると考える(注2)。

90%以上が、ここ3年で書類仕事など、臨床と関係のない雑用が増えたと考えている(注3)。63%が、このために患者と過ごす時間が減ったと言っている。

11%が近く引退することを考えており、13%が患者のケアに直接関わらない仕事につきたいと考えている。

20%が患者の数を減らす計画があり、10%はパートタイムに移行したいと考えている。

66%の医師が「現状で目一杯」または「限界を超えて伸びきっている、働きすぎている」と考えている。 (注4

(後略)



注1.アメリカでは、引退は65でなくてもよく、引退しても大丈夫なくらいお金が貯まったら引退します。ですから、早めに引退する医師も多いのです。働ける医師は、65歳を過ぎても働いていますが。ところで、引退する際の退職金というのはあまり聞いたことがないですね。あっても、きっと額は日本ほど多くないのでしょうね。

注2.プライマリケア医の不足は、前から大きく取り上げられていて、アポを取るのに長く待つ場合も。(多くは予約制なので) そこで、NPやPAが増えてきて、プライマリケアの多くを担っているというのが最近の傾向です。でなければ追いつかないのです。オバマさん(と、いうより、オバマ様様!)が医療改革を公約しています。無保険の人の数(現在16%)が減らすとなると、保険を持った人が増えるということ。その人たちはどこかでプライマリケアを見つけなければいけない。

ますますプライマリケア不足が顕著になると予測されています。

しかも、政府を通しての保険は払いがとても少ないので、例えば貧しい人向けのメディケイドの許容範囲を広くして、メディケイド人口が増えたとすると、メディケイドを取る診療師を探さなければいけません。これがまたもんんんのすごく大変なのです。普通、医院などは取りません。メディケイドの患者を一人診るたびに損するからです(診療報酬は約30ドル。15分かけて診療して、人件費などのコストを考えると、損になる)。

取ってくれるのは、政府の助成金を受けて、「患者の70%以上はメディケイド」などと規定のかかっている、地域診療所や、患者を拒否できない約束になっている、大病院の外来部門。

当然、そういうところはコストを抑えるのにやっきになります。特に地域診療所は、患者と言葉が通じなかったり、患者にお薬を出しても買ってくれなかったり、何年も診療師にかからなかったおかげで病状の重い患者さんが多かったり、診察現場はとても大変です。そういうところに医師は来たがらない。でも、NPはそういうところで働くことが多い。多分、施設側のディマンドと、そういう患者と働きたいと考えるNPの傾向との両方の因子があってのことでしょう。

注3. 書類仕事を減らすため、電子カルテの導入をオバマさんは呼びかけていますが、カルテ以外の書類仕事がものすごく多いですよね。保険会社が「いい」と言っている以外の薬を出すと、薬局で不許可となり、患者さんが医院に戻ってきて、それから保険会社にお薬を出す特別許可の書類を電話で要請して、それが来たら埋めて、送って、待って。

この、薬の事前許可制度に関する毎日のどたばたについては、スマートナース1月号の「緒方さやかのアメリカNP医療事情」のエッセイに書いてみたので、スマートナース1月号が出たら、ご覧ください。まだちょっと先ですけれどね。

注4.日本では何%なんでしょうね。でも、勤務医の方が開業医より超過勤務が多いそうなので、アメリカと逆ですね。

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