サバイバー患者さん

今日は93歳の患者さんが来た。
osteoarthritisと高血圧以外は健康そのもの。家族は全員亡くなって、一人きりのクリスマスは辛いと言ってはいるが、鬱病などの気配はない。身体は健康だけれど、わざと時間を取って長めの診察をした。(次の患者さんをちょこっと待たせちゃたけれど。)多分、寂しいのだ。そして多分、おしゃべりすることが元気のもとだものね?

そのことを今日、NP友達と話していたら、彼女のすごい「サバイバー」患者さんについて教えてくれた。80歳後半で、ホロコーストの生き残りのポーランド人の男性。バケツの上に立って、首には縄が絞められたまま、「軽い首つりの刑」を3日間されたり、あわば銃で処刑されるところを偶然邪魔が入って助かったりした。キャンプから解放された時、180センチの身長に体重はなんと40キロだったこと。

家族は残らずキャンプで殺されて、戦争の後に一人旅をして、とうとう自宅に着いたら、知らぬ男が住んでいて、「ここは私の家だ」と主張したら、撃たれそうになったこと。そしてアメリカに移住したこと。

そういう患者さんが、いろいろと近所に住んでいるが、どんどん年を取っている。ニューヘイブンのユダヤ人センター(社交ダンスの催しものに行ったことがある)では、そういう人たちの語る話がポスターになって貼ってあった。

ちなみに、上の患者さんは、学生たちに自分の体験を語ってまわるボランティアをしていると言う。でも、体重が落ちて、食欲もなくて、あんまり最近元気はないらしい。

日本でも、戦争を直接知っている世代の人々がどんどん年を取ってきている。でも、みんながみんな、世間に向けて辛い時代を思い出し語りたくないんだよね、それも個人の自由なんだけどね、と祖母を見ていて思うけれど。でも、語ってほしい!

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この真冬のさなか、「韓国戦争兵」「ベトナム戦争兵」看板を掲げて、国旗のついた帽子をかぶって立っている(もしくは車椅子に座っている)ホームレスの人たちは、すごく多い。そして、完全に雑踏に無視されている。

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話すということが、癒しになることは明白なのに、なぜそのような機会が与えられないことが多いのだろう。せめて患者さんが話したい時は、(時間の許す限り)聞いてあげたい。道の人々にも話しかけたい。話を聞いてみたい。言うが易し、行うが難しではあるけれど。

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