NPが看護師である必要はない?

とある病院を見学させていただいた後は、東京で、のんびりしています。
前回は家族とほとんど時間が過ごせなかったので、今回は数日、家族と会えるということで、そのほかに予定を入れないようにしたので、連絡来なかったよ!という方、本当にごめんなさい。おじいちゃんの本棚から本を拾い読みしたり、近くのスーパーに買い物にいったりもしました。

明日から一気に忙しくなります。

アメリカでも日本でもあまりテレビを見ないたちなのですが、日本のニュースやドラマをちょこっと見て、医療や介護が「売れる」テーマである(だからそれに関する番組が多く作られる」ことに気がつきました。

さて、下のようなコメントをいただきました。

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認定看護師のほうが役割が見えやすい。。。確かに領域によってはそうかもしれません。しかしみえやすい役割はほんの一部であってみえにくい部分にこそ認定看護師の存在の意義があるのだと思います。例えば、薬剤の調整は極端なはなし、看護師でなくても、薬剤師でもできると思います。認定看護師の本当の存在意義は現場の看護師の力を引き出し、組織の力を高めていくところにあると思います。このことは専門看護師でも同じです。おそらくNPの仕事にはこういった要素が入っていないのだと思います。NPの仕事と認定看護師の仕事は似ているようですが、全く性質が異なっていると私は思います。NPの仕事は医師が肩代わりをすることができるように感じます。しかし認定看護師や専門看護師の仕事の多くは医師が肩代わりすることが出来ません。それは看護独自の機能を発揮しているからです。NPの方のお話を聞いていると、たしかに先進的ですが、NPが看護師である必要性が見えてきません。
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以上のコメントを、認定看護師さんのビデオのページから、ma-maさんにいただきました。(ありがとうございます!)

「認定看護師の本当の存在意義は現場の看護師の力を引き出し、組織の力を高めていくところにあると思います。」素晴らしいと思います!認定看護師についてはまだ勉強中ですが、専門看護師は、日本でもアメリカでもまさにそれが役目の大きなひとつです。大変重要な役割ですし、NPにはありません。NPはその代わり診療、診断が役割で、教育もそちらに重きが置かれています。

CNSとNP、果たす機能が違うだけでなく、勤務現場も違っています。簡略化して言えば、CNSは主に病院内(精神科CNSは外来もあり得る)、NPは主に外来(NPのごく一部である、急性期専門NPと新生児NPを除く)です。

NP歴史の本、ビデオを見る、インタビューをするとよく聞くのですが、「NPなんか看護じゃない、看護師の必要がない。ただの医師ヘルパーじゃないか」という言葉は、アメリカでも1960-1970年代でよく聞かれたそうです。医師会は彼らなりの理由でNPに反対し、看護協会も一部の人をのぞき反対していたそうです。

現に、1960年代前半、フォードがNP講座を既成事実で作ってしまった前、NPのような構想があり、アメリカ看護連盟につぶされたといいます。

システム全体を良くすることに関心が高い看護師さんは、管理職になるか、CNSの勉強をするでしょう。(それはそれで、素晴らしいことですね。)しかし、たまたまシステムのことよりは、直接の臨床の方に興味があり、実際知識や技術が豊富な看護師さんもいます。今は、どんなに優秀で、実際、皆に信頼され、研修医師に指導するぐらい知識が豊富でも、看護師、つまり「医師のヘルパー」としてしか、現場でしか参加できません。しかし、もっと勉強して、より患者さんのためになりたいと思っている方も多いでしょう。

そういう方が、夢を追いたいと思った場合、認定看護師に注目することもあるようです。ある程度自立して患者さんと関われるからです。「日本では無理だ」と判断し、アメリカのNP留学プログラムを夢みる方も、大変数多いようです。そのような方が、日本に残って日本での経験を活かせるチャンスは、将来できるのでしょうか?

また、NPが始まった1960年代のコロラド州では、医師があまりに不足していたため、看護師が予防接種の判断、健康相談など、ほとんど診断、診察行為に近いことを強いられていました。しかし、看護の勉強をしてはいるが診断の勉強はしていない看護師たちにそれを求めるのは、酷なことです。経験に基づいて判断しているとはいえ、彼女たちは、もっと知識を求めていたのです。NP制度は、このような看護師たちに正しい知識と訓練を与え、また、一定の基準をもうけ、このような行為を合法化しました。また、さらに重要なことに、これらの行為で診療報酬が受けられるようにしたのです。このため、NPとなった看護師たちの診療行為は「サービス」や「あったらラッキー」ではなく、正当な、プロフェッショナルな形で、医療の一端を担うことになったのです。

日本の老人施設などや、訪問看護でも、患者さんに必要とされるため、診察に近い重い責任を看護師は受け持っていることもあると聞いています。(実際、何を聞いても「医師に聞きますね」と答える看護師は、決して有能なナースではありませんよね。高度な看護的な、そして医学的な判断力は、患者を助け、命を救います。)

一部の優秀な看護師さんはそつなくこなしているでしょうが、もっと知識を得たいと願っている人の方が多いのではないのでしょうか。そして、万が一のことが起こったら、「診療行為は違法なのに、事実上診療していた」と、監督していた医師だけでなく、患者さんの必要に応じて提供していた、このかわいそうな看護師も責任を取らされるのでしょうか?

それよりは、一部の、システムじゃなく臨床の高度な知識、技術に興味のある看護師さんたちに、NPを学ぶ、NP資格を取るというオプションが開かれていた方がいいのではないでしょうか。

さらに、最後になりますが、医師たちは診察のエキスパートかもしれませんが、患者さんや家族の必要なことをすっと探知できる能力は、多くの看護師がより優れている、と思いませんか。医師よりも、患者さんに分かりやすい言い方で、説明できたり、治療以外に心のケアなどにも気を配れる看護師ですが、自分や自分の家族が病気だったら、その担当医にも治療以外にも気を配れる医師であってほしいと、願いませんか。

看護師で、学校に入り直して医師になった人も知っています。その看護師としての経験故、ユニークな能力を備えた医師となっています。NPも全く同じです。診察の知識以外に、看護師としての視点を診療できる立場になっても忘れないため、「すごくいい」診療師になることができるのです。

私は大学時代、かかりつけがNPでした。医学校に行く予定が、NP学校に行くように変更したのは、色々な理由がありましたが、その人がとっても素敵なかかりつけだったからというのも大きな理由です。

今でも、患者さんや友達で、「かかりつけはやっぱりNPがいい」という人も、少なからずいます。「話をちゃんと聞いてくれるから」というのが一番よく聞く理由です。もちろん、これはアメリカの話ですし、日本では違うかもしれません。

長くなりましたが、お返事、ほかの皆様のコメントお待ちしています。

緒方さやか






Comments

Unknown

緒方さやかさんは書きました:
「日本では無理だ」と判断し、アメリカのNP留学プログラムを夢みる方も、大変数多いようです。そのような方が、日本に残って日本での経験を活かせるチャンスは、将来できるのでしょうか?
(中略)
それよりは、一部の、システムじゃなく臨床の高度な知識、技術に興味のある看護師さんたちに、NPを学ぶ、NP資格を取るというオプションが開かれていた方がいいのではないでしょうか。
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これを読んで、自分のことを言われているように思いました。日本では総合周産期センターの機能をもつ病院で 助産師として4年間勤めました。その後準備期間を経て、Women's Health Nurse Practitioner プログラムのある米国大学院で勉強し、晴れてNPになってから丸1年になります。

今は日本でも変わってきていると思いますが、私が日本でキャリアアップを考えていた際、私が求めているほど実践に重きを置いている大学院のプログラムを見つけることができませんでした。(少なくとも私が希望していた分野では。) 周産期だけでなく、女性の健康について幅広く学びたいと思っていた私は、母性看護のCNSプログラムをもつ日本国内の大学院を訪ねたりしましたが、教育と研究に重きをおいておられて、必ずしもご自身で臨床実践をされているわけではない先生方について学ぶのは、自分のニーズと照らし合わせると物足りない思いがありました。

アメリカの大学院で勉強するにあたって、アメリカの看護師免許を取らないといけなかったり、そのために膨大な時間とお金をかけたりと、準備は大変でしたが、実際入学してからは、プログラムに大変満足しました。(しんどかったけど。)

学校では現役NPとして働いている教授陣に多くのことを学びました。週2-3回は実習で、プリセプター役のNPまたは医師の元で学びました。講義が始まってからわずか1ヶ月後に実習が始まったときは正直面食らいました。始めこそ見学だけでしたが、少しずつ自分の出来る範囲を増やし、卒業近くにはほぼ自立して患者さんを最初から最後まで診るようになっていきました。

私は 日本でもNP/PA のようなプロバイダーが活躍できる日が早く来ることを強く希望しています。日本にフィットする形のNP/PA の定義、教育、働き方 etc など、いずれも最初は試行錯誤であって当然だとおもいます。やがて、わざわざ外国にいかなくても、国内で学び、国内で働ける仕組みができるんだ、いやみんなでこれから作っていくんだ、と思うとわくわくします。

私はNPになってやっと1年たったところです。まだまだ日々の仕事の課題であっぷあっぷしています。でもそれだけで目いっぱいにならずに、日本の人にもっとNP/PA について知ってもらえるように発信しなくちゃ、と思っています。それは一NPとして技術力・知識を高めていくことと同じぐらい、大事な仕事だと思っています。と、エラソーに書いてみたものの、現実はなかなか、ね。来月は久々の日本。NPとして初めての日本での講演。がんばりまうす。

NP vs 医師

認定看護師の役割は看護の力を引き出し、組織の力を高めるという事にありますというコメントを読みながら、最近読んだ新生児ジャーナルのある記事の内容を思い出しました.下に訳します。どの前に個人的に思った事を書きます。
認定看護師の役割が組織の力を高める、組織全体を高めるなどは全て患者へのアウトカム向上、ケアの質の向上を願ってそうするのだと思います。そして、認定看護師の役割範囲を看護にのみ当てる事は可能性を抑制する様にも感じます。診療力、判断力を認定看護師の訓練の上に足したら認定看護師の影響力が最初から限られた状態ではなく天井の高い、屋根の広いものになるのではと、思うのは、そういう環境でCNS、NPの広い医療貢献を見慣れてしまっている私の贅沢でしょうか?この記事では、新生児NPの病院での役割などに触れて、診療する意外にいろいろな事をして組織を確かに高め,看護師らのレベルアップにとケアの質の維持確保の努力に努めているNPの姿が浮き彫りにされています。NPの仕事は医師が肩代わりすることができるのではないかというご意見を読み、是非、医師は逆立ちしてもNPにはなれないという事実をお分かりいただけたらと願いつつ訳してみました.以下、記事の一部の訳です。



Catherin L. Witt. Neonatal Nurse Practitinoers, A Value to Nursing. Advances in Neonatal Care, 9 (3). 91-91.


NNPの不足している地域では一般小児科、ホスピタリスト(これも医師です) PA、または新生児集中治療経験のない他の専門のNPが穴埋めとして活用されてきています。NNP以外のクリニシャンがNNPと同等のケアをNICUで提供しているかということに関するリサーチが現在不足しています。けれど、此の様にNNPを他の職種で置換えることができると仰る方々は、NPの役割をただ単に日々の診療診察のみだと理解してしまっています。多くの病院で、NNPは、患者を診る以上に様々な業務の責任を持っています。
新生児蘇生法(NRP)を看護師や、研修医に教えるのはNNPです。STABLE プログラムもNNPが教えています。(これは新生児集中治療の世界で搬送前に搬送必要な児を安定させるための知識と技術の訓練のプログラムで中味は看護と医学のまざったものです。血ガスの読み方とかも教えています。)自分の病院ばかりか、多くのNNPは病院から一歩出て他の地域の施設などでも新卒のNICU看護師らへの教育プログラムを教えています。NNPは研究に参加します。搬送に出てゆきます。若い看護士らのメントアとなって励まし役となることも多いのです。病院内のquality improvement projects にも中心的な存在として参加しています。NNP研修中の大学院生の実習のプリセプターをしています。研修医教育に関わっています。研修医の患者管理の監督をしています。(一番多いのは指導医の不在な当直中などは大学病院などではフェローとNNPが同じ様なレベルでレジデントの監督役をします)新しいNNP卒業生のための国家資格試験の準備のためのレビューコースなども教えています。新生児看護学会に、参加し、活動しています。(全国レベルで活躍し、講演をしたりしているNNPも少数ではありません。)論文をジャーナルのために書いたり、大学院で多くのNNPは教えています。これらの事を多くのNNPが毎日の現場の臨床以外にこなしています。一般の看護スタッフも学会レベルで活躍したり同じ様に幅広く活躍しています。NNPが不足しているNICUで代わりに雇われているPAやホスピタリスト(病院勤務の医師)たちに関しては同じことがいえるでしょうか?

私の同僚が最近病院側からあなたのサラリーで医師が雇える、というコメントを受けました。医師は貴重な同僚ですし、確かに同じ額で医師がやとえる、またはPAがやとえるというのは事実に違いありません。けれど、
医師1人を余分に雇った場合、同じクオリティーの看護への幅広い貢献というサービスを病院側が受ける事は、無理だと考えます。なぜならばNNPはまず、第一にナースだからです。(The bottom line is that NNPs are nurses first and foremost.) 他の職種にはないものを私たちは持っています。私たちには、看護との深い繋がりと、看護への使命という物があります。私たちの多くは、既に述べた様な様々な看護側面への参加で活躍する機会そのものが、自分たちの仕事に最も充実感を感じる部分だと思っているのです。今私たちにすべき事は、この私たちプロの”価値”をマーケティングする事です。サラリーの元である病院へ対してのみではなく、現在存在するNNP不足を補って行く、将来のNNP達に対して,大きく、宣伝する必要があります。
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Unknown

緒方さんの書かれたお返事の内容は、これ以上の模範解答はないと思うほど、よく書けていると思いました。
でも、それと同時に、多分、どんなに説明されても、NPに診察されたことのない人には、理解することは、すごく難しいかも、とも思ってしまいました(そこを理解してもらいたいから、苦労されているんだと思うのですが)。

私の米国の主治医(NP)だった方への第一印象は、とにかく、「とても細やか」だということ。
訴えによく耳を傾けてくれて、親身になってくれているのが、とてもよく伝わってくるのです。プラス、判断や治療はすばらしく的確でした。時間をかけてくれますが、無駄はどこにもない、というかんじで、私もいつか、こんな医療者になりたい、と思ってしまったほどです。

私は、実際にNPに診察されたことがあるし、また、自分もアメリカでNPの学校に行ったので、NPのことがよく理解できます。また緒方さんが書かれていること、すごくよくわかるのですが、
体験されたことのない人には、難しいかもしれません。

日本の方が、アメリカのNPとか理解に苦しむのと同様、私自身、日本の看護のことで、理解に苦しむことがあります。
たとえば、この方がコメントに書かれている

「認定看護師の本当の存在意義は現場の看護師の力を引き出し、組織の力を高めていくところにあると思います。このことは専門看護師でも同じです。おそらくNPの仕事にはこういった要素が入っていないのだと思います。」

この「現場の看護師の力を引き出す」とか、「組織力を高める」とか、何のことを言っているのか、さっぱりわかりません。(どなたか、教えてくださると嬉しいです)。

緒方さんのサイトで、公開されている認定看護師さんの活躍のビデオをみたときも、このくらいのことは、私が日本にいたときから、正看護師や保健師のレベルでしていた、と思ってしまいましたし。特に私は保健師で、糖尿病を含む成人病の生活指導やフォローアップをかなりやっていましたから。認定・専門看護師さんの専門性が、どれだけ聞いても、私にはピンとこないのです。でも、自分が日本で病気になり、認定・専門看護師さんにケアしてもらえば、こんなすばらしい人たちはいない、と思うかもしれません。

「たしかに先進的ですが、NPが看護師である必要性が見えてきません。」

これには、思わずうなづいてしまいました。確かにその通りです。看護師でなくても診察できる、PAのような人たちもいるわけですし。では、PAは、細やかでないか、ということではないと思います。日本の3分診察といういそがしい外来では、顔もろくに見てもらえず、薬を処方されることもありうるのですが、アメリカはNPやPAでなくても、MDでも、外来で診察している人は、とても細やかで親切です。

患者さんに好印象を残せるかどうかのポイントは、NPでも、PA、MDでも、その外来での診察で、どれだけ患者さんとの出会いを大切にしているか、だと思います。他にたくさん仕事を抱えていて、外来診察を片手間に思っている人や、本当は、こんなことしたくないのに、とか、している場合ではないのに、思って診察していれば、ちょっとした態度や目つき、言葉から、患者さん自身に注意が集中していないことがわかってしまいます。診察専門にトレーニングされたNPやPAの診察に対する、患者さんの満足度が高いのは、これが私の仕事、と思って集中して患者さんを診ている人が多いからではないでしょうか。


第一線で患者さんを診察する職業につくには、アメリカにはMD. PA, NPという、いくつかのキャリアパスがあります。ma-maさんのいうとおり、NPが、または、診察という医療提供をする人が、ナースのバックグラウンドを持つ必要はないと思います。でも、ナースがもう少し知識と技術を磨けば、診察という医療サービスを提供するのにふさわしい資質をたくさんそなえている、といえます。

なぜかというと、患者さんに寄り添う看護の経験を生かすことができるから。そして日本で看護師になろうという人たちの多くは、患者さんを助けたい、という強い熱意があるから。また、日本の看護師さんたちは、とても勉強熱心だから。

日本のNPプログラムを卒業される方々の活躍を願ってやみません。
ひとりひとりの活躍が、私が始めてNPに出会ったときのように、多くの人の心に響きますように。

また、せっかくアメリカでNPの勉強をしたのに、ビサの関係などで日本に帰らざるを得なくなった人たちが、日本で活躍できる場が用意されたら、と思います。ひとりでも多くの人にNPの仕事ぶりをみてもらいたいです。

百聞は一見にしかず、といいますから。

Unknown

>「すごくいい」診療師になる

そうですよね。看護師の経験をいかして医師になったら、ほんとそうですね。

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