グアテマラのセックスワーカーたち

グアテマラでは、セックスワーカーの人たちの多くはその高い塀で囲われた売春宿の中に囚われの身となっていた。
長くそこで働き、逃げないだろうと判断された女の子たちは、外で買い物したり、病院に行ったりできた。

大抵女性だが、どの宿にも一人だけ男性のセックスワーカー(もちろん男性対象)がいた。骨と皮だけにやせていた男性がいたなあ。エイズ検査はどうしても受けたくないと言って働いていた。エイズだとわかったって、治療できる場所は首都に行かなければないしね。彼は「夫」と呼んでいる愛人も一人いた。お客さんももちろいんとっていた。

一回のセックスの金額は、場所によって多少は違うが大体日本円で500円ー1000円だった。

女性らの年齢はかなりまちまち。15才ー40才以上の人もいる。ほとんど全員がエルサルバドルの内戦から逃げてきた子たち。グアテマラ内の地方から来た人もいた。ニカラグアから来た人もいた。

コカインをやれば、お客さんがチップを大量にくれるので、客にもらったコカインで中毒の人も多かった。

女の子たちが産んだ赤ちゃんもいた。みんなの人気者の、小さな赤ちゃん。売春宿の中でそこだけ笑いが絶えなかった。

ある日、ひとり、とても暗い顔をした女の子がいた。どうしたのと聞くと、最近、赤ちゃんを産んだばかりだという。赤ちゃんといては仕事にならないから、近所のおばさんにお守りを頼んだという。そうしたら、2人とも煙のように消えてしまった。

グアテマラでは、養子縁組を語る悪質な団体がいくつも横行したいた。「自分の子供に、アメリカで素敵な人生を送らせたいと思いませんか」という文句のもと、15万円から50万円で赤ちゃんを引き取る。その先は、養子縁組でなく臓器売買につながっているというウワサは、でまであってほしい。政府が作った「養子縁組の甘い言葉にだまされるな」というポスターが、色々場所に貼ってある。

そのようなところに自分の赤ちゃんは売られたのだろうと、泣く。

私たちにはなにもできない。

もう一人、忘れられないのは、ノーマ、19才。
今まで、5人子供を産んできて、そのたびに民家や知り合いに「ちょっと見てて」と頼んでは逃げてきた。そうやってエルサルバドルの戦火を逃げ、グアテマラにたどり着いた。

本当だろうか?本当に自分の子供を置いて走り続けることができたのだろうか?

グアテマラから最近メールがきた。私が居候もした、現地の友達、エイズ教育にせいを出し、「セックスワーカーの母」として慕われている、(本業は3年生の教師)、ルドミラが、膀胱ガンだという。

あのものすごいやくざな病院を思い出す(カーテンで廊下から遮られただけの部屋で、ルドミラの腕の腫瘍を取ってくれたが、取ったあと床に落としてなくしてしまい、腫瘍の原因などはわからなかった)。

アメリカに行きたい、と口々に言っていた医師たち。

アメリカは天国じゃないよ、と何度人に言っただろう。
(でも、年収がたった30万円の医師たちを、誰が止める資格があるだろう。)

中国の河南省でも、北京でも、ニカラグアでも、みんながアメリカに来たがっていた。ニカラグアの隣の商店の息子は、トラックに揺られて行ってしまった。また生きて会えるだろうかと、商店のおじさんは男泣きに泣いていた。止めたのに、行ってしまったと。

アメリカにいる私たちが、「アメリカだけを夢みないで、自分たちの国でがんばって。」と言うのは、それは空回りな言葉だろうか。偽善なのだろうか?



Comments

Unknown

非常に興味深い話です...

Unknown

自分だったら「アメリカは天国じゃないよ」とは言えても、「自分たちの国で頑張って」の部分は言えるかどうかわかりません。

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