医療学会の抄録 執筆中

6月の長崎で行われる日本医療マネジメント学会用の抄録を書いています。
下書きで、個人的に書いたものなので、公開しても著作権は大丈夫だろう?
てなわけで、下のがそうです。
興味深い発表にできるよう、今からデータを色々集めています。

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1500字


2007年12月の厚労省医政局長通知「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」が発表されたことで、業務分担に関する議論が高まった。チーム体制で患者をケアするためには、医師と看護師という単純構造では間に合わなくなってきている。また、医師不足を背景に、ナースプラクティショナー(NP)という上級実践看護師の導入に期待が高まっている。
NPとは、専門の教育を受けた看護師で、ある程度独立して診療行為を行える。アメリカ、カナダ、イギリス、韓国などの各国に続いて、 NP教育がわが国でも大分看護科学大学において2008年に始まった。 加えて、 国際医療福祉大学、 聖路加看護大学などがNP講座を今年度開設する。
アメリカでのNP制度は1960年代に始まり、現在は家庭、老年、成人、 小児、 急性期、新生児、精神、ガンなどの専門に別れている。 看護学士号の後、2年間の修士号を終えた後、国家試験を受験し、各州で免許を取得する。平均給与は約81,060ドルと、 医師の約5分の1から2分の1である。
NPは処方権を持ち、医師の85%(カリフォルニア州は100%)の診療報酬で、医療を支えている。 従来はプライマリケア、特に医師偏在に悩む地方や都会のスラム街などで活躍してきた。医師と協力関係を保ちつつも、独立して診察し、州によっては開業権も持つ。NPの多くは特に複雑な患者は医師に紹介し、健康促進に重きを置いた看護哲学を活かした診療スタイルを持つ。
しかし、 NPの役割は、医師の監視下でできることを任されているうち更に発展し、近年はICUなど急性期で働くNPが増えている。これらのNPは人によって動脈ライン,胸腔ドレーン、緊急時の開胸などもこなす。特に、2003年に研修医が80時間労働に限られてからは、医療の質を保ちつつ人件費増加を最小に食い止める目的で多くの病院がNPを雇った。 彼らが医師と同等の質の医療を提供することはその後、多くの研究論文が証明している。
具体例として、ICU(集中治療室)、ER(救急診療部)、介護ホーム、プライマリケアにおける、医師とNP、そして看護師とのチームの組み方など、医療施設から取材したケースを紹介する。
また、米国では、NPと同様のNon-Physician Clinician(非医師診療師)として診療行為を行うPA(医師助手)も多く活躍している。2年前後の修士号を取得後、国家試験を受ける。 NPとは異なり医師会によってその教育が形作られたが、現在では、 PAとNPの役割や待遇は多くの地域で似てきている。
米国でのNP制度は、CS(患者・家族の満足)、DS(医療機関の満足)、ES(職員の満足)の観点から見て成功したと言えるが、日本にも適用できないものだろうか。NPやPAの発展の背景にあった米国の医師偏在、医療の高度化⋅専門化、プライマリケア医不足などは、現在の日本の現状と似通う点もあり、国民の変化を求める声は強い。
これらの「専門の臨床教育を受けた一部の優秀な看護師」たちが医師、看護師、そしてコメディカルと協力し、頻繁にコミュニケーションを取りながら患者を診ていくことで、医師にアクセスの難しかった国民に医療を提供し、信頼を回復するような医療体制を築くことが考えられる。
しかし、医師以外にかかりたい患者はいるのだろうか? 研修医の教育する場はどうなるのか? NPやPAによる医療事故の責任は誰が問われるのか。
米国でも問われたこれらの疑問を検証しつつ、NP、PAなど、どの職業モデルを現在の日本で具現化するべきか、これからますます高まっていく議論に、アメリカから一石を投じたい。


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