NPのフィジカルアセスメントの講義では、何が行われて、どのような試験があるか?

フィジカルアセスメントの講義について書きます。
NPの教育課程に興味ある方はご覧ください。

フィジカルアセスメントはNP一年目の学生向けで、秋(第一学期)に行われます。

週一回の3時間の講義とは別に週一回3時間の実技LABがあります。それを私が教えていたわけですが、そこでのテストは筆記のテストとは別に行われます。 学生たちは、 CHECK OFF LISTを参考に練習し、特定の時間内に正しくその技術を披露しないとパスできません。
LABでは、まず最初、10分ずつ、パートナーとHISTORY(聞き取り?)の練習をし、的確な質問を聞く練習を行います。その際、患者役の学生が使用するのが、 SOAP NOTEで、様々な病状の SOAP NOTEが用意されています。
次に、インストラクターがフィジカルアセスメントの技術を、解剖学を交えながら説明し、デモンストレーションを行います。最後に学生たちにお互いに練習させます。

LABは大体、学生20人に講師がふたりと、TEACHER’S ASSISTANT(このクラスを去年取って、成績の良かった人で、アルバイト口の欲しい人が抜擢される)がひとりという構成です。

かなり詳しくやるので、これで3時間以内に収まるか?いえ、相当きついです(汗)。学生たちはクラス外でも、ずいぶん相当練習して実技試験に臨んでいるようです。

婦人科と男性の泌尿器科の部分は、それを専門に教えている人たちがいまして、祖別に数時間ずつ行われます。(Genital Teaching Assistants, GTAというらしいです。皆GTAの資格をとったアルバイトの人たちです。)

ちなみに、 日本のNPプログラムを作るのに関わっている方で、このクラスで使用するシラバス、試験で使用するチェックリストをご希望の方は、 teamiryou@mail.goo.ne.jp までメールしてください。 そのような目的にはシェアしてもいいと、許可をもらってあります。

緒方さやか

保険あってもなくても辛い、患者もだが診療師も辛いシッコの世界

「ブログ」のカテゴリーなので、ちょっとNPに関わりのないことを書かせてください。

精神科医レジデントの友達Rが、ひとこと。
「毎日がSICKOの世界だよ。」

シッコというのはご存知Michael Mooreの映画で、アメリカの医療システムをおかしくかなしくcaptureしたドキュメンタリーです。
Rによれば、患者のひとりは、勤めている会社がある月から、安い健康保険に変えてしまった、と。毎月の保険料が減るので、患者負担の保険料も減ったが(普通、給料から天引き)、そのかわり、誰に診察してもらうのでも、半額が患者負担となった、と。例えば精神科や整形外科とかの専門医に行ったら、普通医師と話すのが15分以下で200-300ドルはかかりますから、普通の人だったら「コーペイ」といって$35-50程度払えばいいものを、彼は200-300ドルの半額を払わなければいけない。薬も半額しか出ない。(例えば肺炎によく効くというlevaquinは5日分で130ドル程度かかる、もちろんもっと安い薬もあるが。)
その患者さんは、お金がなくて精神科にほとんど通えないというわけ。必要があっても。だから精神科医の方は、一ヶ月後に来てといいたくても言えない。
で、患者さんはメディケイド(貧しい人用の保険)に申し込もうとしたら、年収が140万円なので、貧しくないということでその保険は受けられなかった。

年収140万円!!!!

Rのオフィスで働いているおじさんは、月々薬代に700ドルかかっているという。最近病気がひどくなって仕事を休みがちなのは、妻の薬代を出すために、自分の薬は一日おきにしか飲んでないからだろうという。一部の薬は、それでももしかしたら惨事にはいたらないかもしれないが(コレステロールを下げるスタティンとか?)もし糖尿病や高血圧の薬だとしたら?

そして、そのせいで脳卒中が起きたら?

オスカーワイルドの賢者の贈り物の世界ですよね。

こんな怖い日常が、私たちの日常なんです。本当に。
私もこういう話はたくさんあります。スマートナースの連載の11月号にも書きましたが。ほかにもありますが、将来連載の題材に使いたいのでそれについては今書きませんが。(すみません。)

さて、関係はないですが、明日はサンクスギビングです。つれあいの、恩師の、娘の家に行ってきます。

それより、以前クリニックでメディカルアシスタントをしていたMちゃんは、シングルマザーで、仕事を辞めて准看の学校(1年間)を卒業したばかり。今は准看の国家試験の勉強をしている。「生理用ナプキンを買うお金もないよ!」と笑っていたが、サンクスギビングに十分に食べるものはあるのだろうか。育ち盛りの男の子がいるのに。

電話してみます。


朝日新聞にNP情報が!

11月30日の朝日新聞の朝刊に、NPのことが載るそうです。
ぜひ日曜日は朝日新聞を読んでみてください。


CNSの薬の処方権ー新情報


10月に発表させてもらった内容に、訂正があります。申し訳ありません。
CNSも一部の州では処方できるそうです。

先日、NP歴史の生き字引的な先生をインタビューしてきました。
そのインタビューの内容はちょっと長いのでまた後で載せるとして、彼女に、「CNSは本当に処方できないのか?」と聞いたところ、「一部の州ではできるよ」とのことでした。 私が前、別の人から聞いた話とは違っていて、びっくりしました。

そこで、ネットでざっと調べてみたものを、ここに載せておきます。



米国CNS協会の立場

このページの上から2番目の
NACNS Position Statement on Advanced Pharmacology: Practice, Curricular and Regulatory Recommendations (Posted 9/14/05)
をクリックしてダウンロードすると、米国CNS協会の立場が書いてあります。ちょっと古くて2005年のものですが。

内容:CNSは全員、上級の薬学に関する知識を持っていなければいけない。ただし、これは処方するための知識とは同一ではない。CNSはさらに、薬を処方する際の注意点などについても学ぶべきである。そして、とあるCNSが処方権を持ちたいと思ったら、各州の看護協会に書類で処方権を申し込み、看護協会はCNSが処方するための必要最低限の教育などを満たしているかその州の法令に合わせてチェックし、満たしていればその都度、処方権を与えるべきである。

ウェブで見てわかったのは、オレゴンでは2007年からCNSも処方できる。
ニュージャージーもコネチカットもできる。カリフォルニアでは、CNSの処方権を求めて、会議などが行われている。会議の模様
ワイオミングでは、処方権ができた場合に備えてCNSの学生を教育しているらしい。
どの州では処方権がある、などの情報は、NPは全国ひとつにまとめた書類が出ているのだがCNS界では見つからなかった。だから、ほかの州でのCNSの処方権は不明。各州の看護協会に電話をかければいいんだろうけれど。


米国CNS協会のサイト
はわかりにくいし、情報があまり載っていない。(米国NP協会のも相当わかりにくいが、それにしても!)

ちなみに、CNSの処方権がある、というのは、それぞれ自分の専門分野の分の処方権である。(緩和ケアなら、痛み止め、など)

どうやら1990年代半ばに、CNSとNPをまとめてひとつのAPN (Advanced Practice Nursing) に融合させるかどうかの論争が起きたようだ。

賛成意見1を読む
賛成意見2を読む

反対意見1を読む
反対意見2を読む

結局、いまだにふたつの職として分かれているところを見ると、反対派の意見が通ったのであろうか。

しかし、精神科ではCNSとNPの融合がかなり進んでいるらしいうわさも耳にする。緩和ケア、などよりも、幅が広く、NPとほとんど役割が同じだからであろう。エールの精神科NPの修士は、終了すれば精神科CNSの国家試験を受ける資格もできるらしい。「だから一応両方受けとく」とは、ある一人の学生の言葉。

また、CNSからNPになるコースもあるらしい。

このことについては、また今度書きます。

しかし、看護の資格についてとかは、ウェブでもとても見つけにくい。苦労して見つけても内容は古かったりする。医師助手や、医師に関しての情報は、一カ所(医師助手協会など)にまとめてあるからすぐ見つかるのだが。やはり、州ごとに規制がばらばらということがハードルとなっているのだろう。残念。

米国NP協会の人にはもうちょっと頑張っていただきたいものです。

緒方

アトランタの婦人科NPのブログ

アトランタのNPプログラムを卒業したばかりの「小芋」さんから、メールをいただきました。小芋さんのブログを見ると、チーム医療維新のことが書いてありました!ーー>ここ

婦人科NPさんのようです。就職が決まったようで、このように書かれています。
ーー>ここ

増える、増える、日本人のNP。彼女の就職先はペンシルバニア州のようなので、東海岸にこれで私とNYCの小柳先生と、3人いることになります。

ロスには多いようですが。エールにNP学生の方もいるし、近い将来日本人NP/PAだけで集まってなにかできるかもしれませんね? 






アメリカの医師は(も)疲弊している、医師という職業を人には勧めない?

NPやPAについてではなく、MD(医師)に関しての記事ですが、アメリカの医師も疲れているのですね。ご存知のように、給料と地位と人気の低い、プライマリケア医に関しての記事です。

ひとりで開業している人は(少なくとも都会では)まれで、普通、何人かで組んで(そのうちのひとりがNPだったりするんですが)開院しています。夜などは伝言だけ受け取ってくれるanswering serviceに頼んで、彼らがオンコールの医師(かNP)の携帯に連絡するという仕組み。
だから、週によっては携帯を取らなくてもいいのですが。
そんな協力体制で臨んでいても、疲弊している様子が伝わってくる記事です。


Many Doctors Plan to Quit or Cut Back: A Survey
医師の多くは引退するか、労働を減らす考えである:とあるアンケートの結果

記事全文は:
こちらで
(記事のおおまかな内容を訳してみました。コメントは最後についています。)


アンケートに応じたgeneral practice(プライマリケアなどをやる、外来医のこと)をやっている12,000人の医師のうち、約60%が医師という職業を人には勧めないと答えている。

「(医療は)アウト⋅オブ⋅コントロールだ。患者を診るのは大好きだが、早めの引退を考えている。」(注1)とは、ひとりの医師のコメントだ。
このアンケートにより、専門家の医師は多いが、内科やファミリー科の医師は不足しているという現状が今いちど確認された。
(中略)
78%の医師は、プライマリケア医が不足していると考える(注2)。

90%以上が、ここ3年で書類仕事など、臨床と関係のない雑用が増えたと考えている(注3)。63%が、このために患者と過ごす時間が減ったと言っている。

11%が近く引退することを考えており、13%が患者のケアに直接関わらない仕事につきたいと考えている。

20%が患者の数を減らす計画があり、10%はパートタイムに移行したいと考えている。

66%の医師が「現状で目一杯」または「限界を超えて伸びきっている、働きすぎている」と考えている。 (注4

(後略)



注1.アメリカでは、引退は65でなくてもよく、引退しても大丈夫なくらいお金が貯まったら引退します。ですから、早めに引退する医師も多いのです。働ける医師は、65歳を過ぎても働いていますが。ところで、引退する際の退職金というのはあまり聞いたことがないですね。あっても、きっと額は日本ほど多くないのでしょうね。

注2.プライマリケア医の不足は、前から大きく取り上げられていて、アポを取るのに長く待つ場合も。(多くは予約制なので) そこで、NPやPAが増えてきて、プライマリケアの多くを担っているというのが最近の傾向です。でなければ追いつかないのです。オバマさん(と、いうより、オバマ様様!)が医療改革を公約しています。無保険の人の数(現在16%)が減らすとなると、保険を持った人が増えるということ。その人たちはどこかでプライマリケアを見つけなければいけない。

ますますプライマリケア不足が顕著になると予測されています。

しかも、政府を通しての保険は払いがとても少ないので、例えば貧しい人向けのメディケイドの許容範囲を広くして、メディケイド人口が増えたとすると、メディケイドを取る診療師を探さなければいけません。これがまたもんんんのすごく大変なのです。普通、医院などは取りません。メディケイドの患者を一人診るたびに損するからです(診療報酬は約30ドル。15分かけて診療して、人件費などのコストを考えると、損になる)。

取ってくれるのは、政府の助成金を受けて、「患者の70%以上はメディケイド」などと規定のかかっている、地域診療所や、患者を拒否できない約束になっている、大病院の外来部門。

当然、そういうところはコストを抑えるのにやっきになります。特に地域診療所は、患者と言葉が通じなかったり、患者にお薬を出しても買ってくれなかったり、何年も診療師にかからなかったおかげで病状の重い患者さんが多かったり、診察現場はとても大変です。そういうところに医師は来たがらない。でも、NPはそういうところで働くことが多い。多分、施設側のディマンドと、そういう患者と働きたいと考えるNPの傾向との両方の因子があってのことでしょう。

注3. 書類仕事を減らすため、電子カルテの導入をオバマさんは呼びかけていますが、カルテ以外の書類仕事がものすごく多いですよね。保険会社が「いい」と言っている以外の薬を出すと、薬局で不許可となり、患者さんが医院に戻ってきて、それから保険会社にお薬を出す特別許可の書類を電話で要請して、それが来たら埋めて、送って、待って。

この、薬の事前許可制度に関する毎日のどたばたについては、スマートナース1月号の「緒方さやかのアメリカNP医療事情」のエッセイに書いてみたので、スマートナース1月号が出たら、ご覧ください。まだちょっと先ですけれどね。

注4.日本では何%なんでしょうね。でも、勤務医の方が開業医より超過勤務が多いそうなので、アメリカと逆ですね。

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NPインタビュー: ファミリー科NPのエウラマさん

YALE看護大学院の生徒に、授業の合間をぬってインタビューをしました。
ファミリーNPを目指しているガーナ出身の看護師のエウラマさん。
ちなみに、ファミリーNPというのは、小児から老人、婦人科の診て、外来で活躍するNPのことです。

ビデオを見る

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ざっと訳したものを、下につけときます。ビデオを見ながら訳を読むと、一番分かりやすいかもしれません。デジカメで撮ったので音声が悪くてすみません。

*********

Ewurama Hayfordさん

Ewurama>私の名前はエウラマで、ファミリーNPになる勉強をしています。
今年で看護師になって6年目です。2003年に(看護大学を)卒業しました。

緒方>今は働いているのですか。

Ewurama>はい、胸部・心臓血管フロアで働いています。

緒方>それと同時に学生もしているのですね。

Ewurama>はい、フルタイムで学生をしつつ、パートタイムで働いています。

緒方>ずいぶん勇敢ですね!なぜ、看護師として満足ならば、NPになろうと思ったのですか。

Ewurama>思うに、ある時点を過ぎたら、もっと知識が欲しかったのです。患者さんがどうしてそうなっているのか、理解したかった。(医師の)オーダーを遂行するだけでなくて。それに、自立したくて、それは私にとって大切なことで。
私が自分で臨床をできるような場に行きたかった。

緒方>え?

Ewurama>自治的な役割がよかった。

緒方>ああ。

Ewurama>だからファミリーNPを選んだのです。これは病院内で見て思ったのですが、病院の中で患者の面倒を見てても、ええと、最終的な決断はアテンデリングの
医師や外科医に任されるので。自分ひとりで患者さんを診られるような場所で働きたいのです…もちろん、ほかの同僚たちと協力して。

緒方>卒業後はどのような場所で働きたいのですか?

Ewurama>プライマリケアがやりたいのです。

緒方>では外来・・・

Ewurama>はい、外来です。

緒方>さっき私に話してくれた、父親との葛藤について語ってもらえますか。

Ewurama>私はガーナの出身なので・・・向こうではNPは使われないのです。助産師はとても多く使われますが。でも、それは女性本来の役割でしょう。全ての文化で、(子供を生む行為、そしてそれの手助けは)女性がやっていることだと思います。だから、助産師は医学と競うところはないのですが。それは(???聞き取り不明瞭)地方などで。
PAのプログラムはあるのですが。医学界によって作られたもので。

緒方>本当に?

Ewurama>全国にひとつしかなくて、1年のプログラムで。基本的な医学について訓練するプログラムなのですが。
私は本当に臨床がしたくて、今、ここで卒業したNPの人と話すと、すごく(NPという役割が)好きですね。彼らは医師と比べても負けない知識があって、患者の問題を解決してあげたり、的確な診断をしたり…

緒方>では、お父さんの心配するわけは?

Ewurama>彼は、今やっと理解し始めたところなのだと思います。「じゃあ医学の道に進めばいいじゃないか」「じゃあシニアナース(病院内で、看護師の中でも責任の重い役目を指す。看護管理者も含む)になればいいじゃないか」と言っていました。でも、シニアの正看護師とは違うんだ、全く別の役目を持ったものなんだよ、と言いまして…彼は、やっと理解し始めたところなのだと思います。
で、(NPの)教科書を見せたら、どうやらわかってくれたようです(笑)。

緒方>なるほど(笑)。では、幸運を祈っています。




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NPに関しての国際会議

128各国の看護師を代表するInternational Council of Nurses(ICN)の会議が、2009年6月に南アフリカで行われます。NPやCNSの権限、あるべき姿などについても熱く語られるのが常だそうで、教授に「NPの発展に興味のある人は絶対行ったほうがいい」と言っていました。
私はちょっとその直前に日本+米国NP学会があって行けなそうですが、参考までに。
2009年6月27日から7月4日まで
ダーバン、南アフリカ
http://www.icn.ch/congress2009/index.htm

ちなみにICNのサイトは
http://www.icn.ch/
ICNの代表者は日本の南裕子さんです。

でも、ICNと深く関わりのあるその教授によれば、2010年の秋ごろオーストラリア・ブリスベンで行われる会は、NP及びAdvances Practice Nursingのみがトピックで、どうせ行くならそちらの方がいいかも、とのことでした。日本にも近いし・・・いいかもしれません。ウェブサイトはまだ上がっていません。

上級実践看護師について、世界各国の看護師と意見を交換したい、学びたい方は、カレンダーに入れておいては?

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NPインタビュー: 精神科NPのイリヤ君

YALE看護大学院の生徒に、授業の合間をぬってインタビューをしました。

ビデオを見る

ざっと訳したものを、下につけときます。
ちなみに、あと4人ほど撮ったので、これから載せていきます!この次には看護教授をインタビューしたい、その次には医師とNPとが働いている様子を、と思います(その前にもっといいビデオカメラを買おうかしら)。

*********

Ilya Saloom君

大学を出て、一年「つまらない仕事」をしてから、YSNのaccelerate program(看護師に1年でなり、NPにもう二年なる、看護師でない社会人の人用コース)の精神科NPを選んだ生徒さん。
今は、NPの部分の一年生です(通算二年目)。

Ilya> 僕は世界の色々な場所で育ったので、昔から心理学には興味がありました。ヴァージニア大学で心理学の学士を取る最中に一年休学して、(学生向けの)「海外で働く」プログラムに参加しました。帰ってきてからは西海岸でとある、つまらない仕事を一年し、ますます看護に進む希望を強めました。
最初は、海外でいつか働きたいという夢から見て、心理学をやるにはいくつかの道があることに気がつきました。

精神科NPはその中でも最も効果的なのではないかと思いました。
まず、薬の処方のほかに、いわゆるトークセラピー(カウンセリング)についても学びます。それに加え、看護なので、ホリスティック(心身一体的)な視点からアプローチします。どの専門でもそうでしょうが、特に精神科は、そのような大きな視点を持つことが大切だと思います。

緒方>アメリカでは、精神科にかかわるためには、精神科の医師のほかに、心理学士、精神科の認定看護師になるなど、色々な道がありますが、精神科NPの道を選んだのですね。

Ilya>僕は、自分(の可能性を)を限りたくなかったのです。心理学士になると、トークセラピーしか学びません。

緒方>心理学士は、処方箋は書けず、カウンセリングのみですからね。

Ilya>はい、そうです。それから、精神科の世界では、現実的に言ってトークセラピーをあまりしません。

緒方>それは、精神科の医師という意味ですね。

Ilya>そうです、すいません、精神科の医師(Psychiatrists)は、薬の処方が主な役目です。ここらの精神科のクリニックに行くと、大抵精神科の医師と、心理学士が両方います。でも、僕は、一人の人間が患者さんを診る方は、その患者さんをうまく治療できるのではないかと思うのです。両方の手法を用いて。

緒方>確かに、ここ(アメリカ)では、患者さんは精神科の医師に処方箋をもらって、心理学士とはカウンセリングをして、と、両方通っているのが普通ですね。
さて、Ilyaさんは1年目の生徒ですが、学校の方はどうですか。

Ilya>ファンタスティックです。当然、僕の興味は心理・精神にあるなので、精神科の臨床のクラスは本当に素晴らしいです。一日の終わりには本当にぐったりするほど疲れてしまうのですが、同時に、自分は本当に患者さんにいいことをしたなという感があります。実際、色々なことをした、学んだ。

例えとして、2日前にあったことをお話しますと、救急のケア(精神科の)ケアのところで臨床をしているのですが、先日、モバイル、といって、地域に出動することがありました。警察によると、この患者さんは、ペレット銃を購入し、妄想が激しく、窓はテープで閉じられ、人が家に入ってくるのを妨げるための罠がいろいろとはってあり、明かりにはアルミフォイルが貼ってあって・・・

そんな過激な症例を見て、興奮もするのですが、同時に、本当にそのような恐怖を持っている患者さんに対して、心から同情もし、とても価値のある経験でした。
たとえどの道で精神科を選ぶにしろ、患者さんから距離を保つことは必要で、精神科に限らず医療をするものはそうしなきゃいけないそうですが。精神科ではかなりそこが難しい。

緒方>精神科では特にそうですよね。

Ilya>そう、精神科では患者さんの頭の中に入ろうとしつつ、自分がそれに個人的に精神的に影響されないようにするので。

緒方>それを、ここ(Yale School of Nursing)で学んでいる?

Ilya>その通り。臨床のとても素晴らしい経験を楽しんでいます。
PRECEPTOR(臨床を教える先生のこと)は僕に自立してやらせつつも、必要なサポートはくれるので。

緒方>なるほど。有難うございました。

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NPは養成所で促進栽培がいいか?修士教育が必要か?

(shio)
2008-10-26 17:10:40
ご無沙汰しております。先日、愛知医科大学で行われた、ケースウェスタンリザーブ大学の先生を招いて行われた講演会に参加してきました。そこでは主にアメリカでのNPの歴史やACNP養成に関しての話がありました。

愛知医科大学ではフライトナースが活躍していることが有名です。
もしかすると、急性期NP教育に関して、今後考えているのかもしれません。

ところで、PAの歴史に関してよく分かりやすい年表ですね。
NPに関しても、1960年代にNP(呼び方には色々なものがあったとか)が教育され始めたことなどが講演会でも話されていましたが、少しややこしいように思いました。1960年代には大学院ではない養成所での教育が主であったようですね。
確かに医師不足という観点からNPやPAの誕生が促進されたというのであれば、大学院で2年かけて養成するのではなく、養成所での促進栽培が必要なように感じます。

ところで、緒方先生にご意見をいただきたいのですが、先生から見て今後の日本でのNP養成は
大学院でのコース修了が必須と考えますか?
それとも、大学院修士(NPコースでない)をすでに既修の方が、養成所での1年程度のプログラムで取得するようなコースができると考えますか?

僕の周囲ですでに大学院を修了しているかたが、NPに関心をもっていたりもしますが、よく意見を求められます。
アメリカでのNP養成の歴史を自分の調べた範囲で考えると、そのような道も考えうると思いましたが、日本という社会の特性を考えると、医師側も国民からもNP要請コースとして、少なくとも2年かけて大学院で教育しなければ、納得されないようにも思います。

このあたりについての展望を緒方先生の先見性あるご意見をいただきたいです。

どう思われますか?
******


というコメントをいただきました(有難うございます)。
私の先見性のあるなしはおいといて…確かにおっしゃるとおり、アメリカでは最初はNPは修士ではありませんでした。とはいっても、数ヶ月の短期養成コースでもなく、1-2年間の、認定コースだったようです。(このへんの事情は、最近引退したVIENS先生に、来月お会いして聞くことになっています。その結果も載せますね)

私の個人的な意見では、短期の認定コースにすることは一抹の不安があります。なぜなら、そのようなコースが一気にあちこちにできたら、質が落ちるかもしれないからです。

今日聞いたニュースですが、ペルーでは、教師不足のためにひと昔多くの教員を大量生産しましたが、そのために教師の質、そして評判が落ち、「ばかでも教師ならなれる、という、いまや尊敬もされない職業になってしまった」そうです。それをなおすために、週末用の教員教育講座を作って、政府が教員全員に通わせることにしたが、給料をその間出す予算がない・・・というような話でした。
大量生産で、質の悪い看護師やNPができては、誰の役にも立たないのです。
患者さんに質のいい医療を提供しようという本来の目的からもはずれます。

しかし、短期のコースが作られた背景に、DEDICATEDな医師、看護師などがいて、少数精鋭で、本当に優秀な(しかも経験の長い)看護師さんを、ていねいに教育する、というシステムであれば、可能だし、すごくうまくいくのではないでしょうか。この場合、「ファミリーNP」など、守備範囲の広いNPになる訓練をするには時間が足りませんが、「急性期NP」「精神科NP」など、比較的臨床の対象の幅がせまい専門のNPならば、例えば1年のコースでも足りるのではないでしょうか。

ただし、いずれは学位も整えたコースのみにしたほうがいいと思います。修士号、と設定することで、学校が違っても同じ最低限の教育の質を保つことができますし、やはり、2年間で学ぶ知識の深さというのは1年や半年とは比べ物にならないと個人的に思うので。自分の学んだことを振り返ると、二年でもぎゅうぎゅうづめに勉強したのに、とても一年では学べないだろうなと思います。

CNSなど、NP以外の大学院修士の人に、NPになれる1年間のコースを作ったら?との意見には、賛成です。CNSの人たちの知識の深さは、ぜひ活用されるべきですし、もしCNSとして活用されていない感じる人がいれば、NPになって、処方権などを獲得することでより活躍しやすくなることもあるでしょう。ただし、CNSとNPの教育内容は違うので、CNSの人がそのままNPの国家試験を受けて・・・というのでは、やはり知識度にばらつきが出るので良くないような気がします。
ただ、これを日本でやろうとする場合、CNSの数自体が200人代ということですから、そのためにわざわざコースを作るのは人が集まるかしら?という心配もありますね。

みなさんは、どう思われますか。