導入した学校、導入検討中の学校

NPプログラムを日本で最初に発足させたのは、大分県立看護科学大学です。2008年4月に3人のNP生徒が2年間の講座を始めました。皆、経験の長いベテラン看護師で、働きながら講座に通っているそうです。(10月に福岡に行くのでついでに大分に足を伸ばす予定です。ぜひこの生徒さん3人に会ってみたいのですが…もし会えたらご報告します。)

これからNPプログラムを立ち上げる看護大学院は、少なくとも2つあるそうです。
国際医療福祉大学http://www.iuhw.ac.jp/ の三田病院 http://mita.iuhw.ac.jp/ とNTT東日本関東病院の東京医療保健大学http://thcu.ac.jp/です。

他に、NPプログラムを立ち上げようかと考えている(計画段階の)学校は、更に多いようです。ここには名前は載せられませんが。

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NP制度は看護師に仕事を押し付けて医師が楽になるだけなのか?

「NP制度は看護師に仕事を押し付けて医師が楽になるだけなのか?」と、看護師不足が深刻な日本でよく聞かれる疑問ですが、アメリカではどうなのでしょうか。アメリカも、海外ナースにより多少解決してきたとはいえ、もちろん激しい看護師不足に悩んでいます。

プライマリーケア(外来)でいうと、簡単な症例はNPにまわされる傾向が津用ので、確かに「風邪とか簡単なものは診なくてすんで嬉しい」という医師もいますが、これは悪いことではありません。なぜなら、多くのNPは喜んで風邪を診るからです。それでも、実は風邪でなくて肺がんであることを突き止めたり、もしただの風邪でも、ついでにマモグラフィーはいつだった?50歳以上の人はするべき大腸カメラは?というようなことを聞いて、せっかく医療機関に入ってくれた機会に患者さんの健康をトータルに診てしまう、というのは、どれもものすごくやりがいのある仕事だからです。(Believe me, this is extremely fun.) 逆に、私たちNPの多くはとても難しい症例は医師に回すことが多いです。「分からないと恥ずかしい」「よく分からないけれど、私がやってみたい」とは言っていられません。患者さんの命がかかっているし、自分たちは医師のように4年間の学校と3-7年のレジデンシーをやってないので、専門的な知識は医師の方が深いことがほとんどです。それでいいんです。その代わり、患者さんのトータルな健康に気遣える教育を受けたNPの私たちは、医師が気が付かなかった意外な事実を、患者さんから聞き出して、結果的に患者さんを助けるというようなことに長けているからです。例えば、実は薬が効いていないのではなく、薬を買うお金がないので一日おきに服用していた、などなど。(そのような例なら、たくさん挙げられるます。今度書きますね。)また、色々な予防の話を健診中にするのにもNPは慣れています。医師はもちろん、多くの難しい症例にフォーカスすることで、やりがいのある仕事に専念できるでしょう。そういう医師とNPがいるクリニックは、健康な子供の健康診断が求められても、92歳の腎不全、肝不全、色々不全のおばあちゃんが来ようとも、どーんと対応ができ、しかもいいケアを提供できるわけです。

入院患者でいうと、私は病院で働いた経験がないので、これらはインタビューした人々から聞き出したものですが、医師からはNPやPAについて「NP・PAがいて助かった」「NP・PAなしではもう仕事できない」という声はとてもよく聞きました。さて、NPやPAは仕事を押し付けられて嫌がっているのでしょうか?ICUで聞いたところ、ICU医師は、最終的に自分に患者の責任があるので、うちでもポケベルは手放せないし、よく居残って仕事をすると言っていました。対して、NPやPAは、「シフト・ワーカー」なので、自分のシフトが終わったらさっさと次の人に任せてうちに帰れるし、うちは仕事のことを考えなくて済むと答えていました。YALE病院ではまた、NPやPAは9時―5時しか働かなくてよく、夜は全てインターンMDでまかなわれているそうです。つまり、NPやPAは夜勤がないのです。「子供を生みたいと思っていたので」医師になる代わりにPAになったある人は、現在子供を生み、働きながら育てています。

術後の管理などはNPやPAに任せて、ICU医師は特に容態の悪い患者さんを診てまわるのが仕事だそうです。

とある看護師さんが言ったことですが、もし医師のいない時に患者さんにある薬が必要になっても、医師に電話しなければいけないと、オフだった医師も嫌がるし、薬を出すのに多少時間がかかる。それが、現場にひとりNPがいれば、NPのもとに持っていってNPが処方できるので、看護師にも医師にも楽である。NPは翌日、その医師が来たときに、薬の処方について報告して引継ぎする。NPが、これは手に負えないと判断したら、すぐにでも医師を呼ぶ、とのことでした。

これはまさに、チームワークであり、医師が楽をして、NPに押しつけている感じではありませんでした。

ただし、一人、乳がん外来のNPの人が、「秘書的なことを頼まれすぎてバランスが難しい」と言っていました。私も、ついつい医師に頼まれればNPや看護師どころか秘書がやるべき仕事までつい請け負ってしまい、時間がなくなって困ったことがありました。そうすると医院の金銭的に見ても、私自身の希望から見ても、NPとしての私の価値が生かされないことになります(私は患者を多く診て診療代を稼ぐのが仕事なので、電話して患者さんの予約を取ることなどはできるだけ秘書の人に任せて、自分の仕事に専念するのが良い)。そういうことにならないように、医師とはっきりとコミュニケーションすることが重要で、「医師がNPに押し付けてしまう」ことを予防することで、国全体の医療費の観点から見ても、医師、NP、看護師の立場から見ても、より有意義なNPという役割が築けるのではないでしょうか。

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ここに書いたことは、あくまでもアメリカでの現状であり、日本でこうなるとは限りません。それどころか、アメリカより国民一人あたりの医療費がうそのように低い日本では、人件費にお金を割いていないので、NPを足してもa drop in an ocean で、結局、病院内のNPもRN(看護師)も医師もみんなで更に過剰労働して、疲弊していく・・・という現状になる可能性もあると思います。(もちろん、外来では違うかもしれませんが。)そうすると、NPになれば何かが変わるかもしれないと思ってNPになった看護師さんががっかりして、優秀な人材が無駄にならないとも限りません。

もちろん、海外から言うは易し、行うは難しなのは分かってて書くのですが、日本の医療は少し安すぎるような気がします。医療費の対GDPは沸く8%と、先進国の中では一番低いと聞きます。国連も称えるcost effectiveな日本の医療制度を、とても誇りに思っているのですが、医療費全体を引き上げて医師も看護師も多く雇えるような状況に病院を持っていかないと、今懸念される「医療崩壊」は避けがたいのではないでしょうか。
忙しい病棟で、NPはついつい人手の足りていない看護師の仕事をしていたり、医師に秘書的なことを多く頼まれる、ということが続くと、自分の知識や能力以下のポジションで働き続けることになり、本来の力を発揮できないでしょう。日本でのNPは解決策の一部となると思いますが、根本的な医療改革なしでは、NP制度は長続きしないのではないかと心配です。

もちろん、医療費が年々莫大に膨らむアメリカは逆の方向に大問題で、そのために破産したり死に至るケースを私は見たり聞いたりし、日本ではこんなことは起こらないよといつも同僚に自慢しているのですが・・・

このことに関して、ご意見がありましたら、匿名で結構ですから、ぜひ「コメント」をクリックして、投稿してください。

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I. 米国のNPについて c) NPの専門分野はどんなものが?

看護師や医師とは違って、NPは専門分野に沿った修士号を取らなければいけない。PAの人たちは、「だから、PAの資格の方が使えるんだよね!」と言う。例えば、周術ケアを2年やってから、やっぱり外来で婦人科だけしよう、みたいなことがPAはできるけど、NPはできないのだ。ただし、自分の分野の中の範囲なら多少の自由はきくが(下の説明参照)。

専門分野は、診る患者の年齢・性別・及び診察場所(ICUか、外来か、など)によって分けられている。AANPによれば、専門分野の分布は以下の通りである。

62% 「ファミリー NP」(小児と成人と婦人科)
22% 「成人科NP」(成人と婦人科)
6.2% 「急性疾患治療NP」(入院病棟や救急救命室、ICUなど)

ほかに、小児科NP、精神科NP、老年科NP、成人ガン科NP、新生児NPなどの専門もある。

ファミリーNP、成人科NP、小児科NPの3種のNPのほとんどはプライマリーケアを診療所や医院などで医師と並行して提供している。患者は、医師を診るかNPを診るか選ぶことができる。

急性疾患治療NPは医師や看護師とより密接したチームワークを必要とされる。

ファミリーNPの人は、例えば普通の外来のクリニックでプライマリーケアもできるし、お年寄りが大好きになったら介護ホームでも働けるし、小児科の分の資格を生かして学校の医務室でも働ける。(私の先生の一人は、ファミリーNPだが女性専用の牢屋で婦人科のみをやっている。)ただし、入院病棟での訓練は受けていないので、法的に禁止されているわけではないが、入院患者のケアに携わろうというファミリーNPはとても少ない(会ったことがない)。

成人科NPの人は、普通のクリニックで小児以外をやる人も多いが、専門外来で、例えば糖尿病専門医院で他のEndocrinologists に混じって診療する、というようなことも多い。ちなみに、糖尿病クリニックの場合、患者さんに足の手当てや栄養の話をするのはCertified Diabetes Educatorの役目で、これは大抵NPでなくてRNである。NPは薬の調節をしたり、インシュリンを始めたり、内容としては医師の仕事に近い。

小児NPの人は、小児科医院、地域診療所、学校の医務室、思春期外来などで働く。

婦人科NPは産科の訓練も含み、生む以外の妊婦のケアは産後のチェックアップなどもできる。だが、産科なしで婦人科だけの仕事につく人も多い。

私の通ったYALEでは、婦人科NPも自動的に成人科NPを取らなくてはいけなかった。これは、州と学校によってかなり違うようである。

専門を変えたい時には約1年間のpost-graduate training (修士号の後、更に勉強したい人用のプログラム)で学び、資格を取り直す必要がある。

(もっと知りたい方は、「NPコース卒業後のキャリアの実際」をご覧ください。)

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I. 米国のNPについて   e. NPと診療報酬

NPは医師と同じように医療行為に対して診療報酬が支払われるのでしょうか?

簡単な答えは、YESです。州と、保険会社によって違いますが、医師と比べて85-100%の診療報酬が支払われます。

ただし、詳しく書こうとすると、あまりにシステムが複雑怪奇なので、説明が大変長くなります。下は、自分の知識と、聞いてまわったのと、調べたのをまとめて書いたのですが、あくまでもこれはコネチカットやニューヨーク州周辺の話とお考え下さい。

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外来の場合
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メディケアやメディケイドだと大抵の州では医師が同じ患者を診た場合の85%が支払われます。ただし、カリフォルニアなどでは100%(医師と同じ)です。それがクリニックに入ってきて、NPはクリニックから給料を受け取ります。そのために、私はmedicare provider ID申請時にうちのクリニックを報酬受け取り代理人としました。
もし開業しているNPなら、もちろんメディケア・メディケイドから報酬を直接受け取ります。

私立の保険会社だと、会社と、またそれも州によって全然違います。今までは100%払うところが多かったのが、最近はコストカットで85%の方が多いと聞きます。それも、大抵はクリニックを受取人に指定して、NPは給料を受け取ります。

この「100%」というのも曲者で、もちろんご存知でしょうが、あるレベルのケアに対していくら報酬が出るか、というのは保険会社ごと違います。それで、「いくらで請求してもどうせ少なくしか返って来ないんだから、とりあえず適当に高い値段を診療報酬申請書に書いておく」そうです。「うちではこのレベルのケアをすると270ドルです」と言って提出し、それが保険会社Aだと150ドル、Bだと140ドル、Cだと177ドル返って来るそうです。この請求する値段は、毎年一律に上げて、常に診療報酬より高めになるようにしておく、とある病院の方は言っていました。

これで問題なのは、万が一保険の持っていない人が来た場合、その270ドルをチャージされるということです。参考までに、保険の無い人の婦人科検診は大体250ドル、保険の無い患者さんに泌尿器科に行ってもらったら、10分診療で200ドル、母が日本から来て背中を痛め、ステロイド注射を打ってもらった時はやはり10分診療で810ドル、でした。保険の無い人は逆に高い値段を払わなくてはいけない仕組みになっているのです。

62%のNPは、平均して1時間に3-4人の患者を診るといいます。NPも医師もいる診療所の場合、医師と同じ数の患者を診るように設定されている所もあれば、NPはカウンセリングなどに時間のかかることを考慮して、医師よりは少なめの患者を診るようにされている所もあります。

ところで、メディケアだと、医師の名前の下にNPのサービスの報酬を請求する、incident to billingというシステムがあります。これは、その複雑さ故に評判が良くないのですが、要するに、「医師が提供したことのあるケアの延長のケアをNPがした場合のみ、85%でなくて100%支払う」というものです。もし血圧の高い患者さんが、3ヶ月後に血圧チェックに来た場合、NPが診ても、医師がすでに診断したものの続きなので医師の名前の下にメディケアに請求を出して、100%診療報酬が支払われます。

ただし、この診察中の患者さんが「ところで、最近足が痛くて」なんて言い出したら、それは新しい診断がつくというなので、NPの名前で出して、85%しかクリニックは受け取れません。もし血圧チェックのみで新しい診断が要らなかった場合でも、「医師はその時点で同じ建物の中にいること」「医師はその時点でどこにいてもいいが電話を受け取れる場所にいること」「医師は50マイル以内にいること」など、州によってincident to billingをできる要件が全く違っています。この辺をあやふやにすると、メディケアの人がカルテチェックに来た時にばれて罰金が科せられるそうです。しかし、まわりを見ると、みんなこの不可能な複雑さゆえにincident toは利用していない医院も多いようです。



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入院や手術の場合
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この場合、そう単純には行きません。私は外来専門なので病院に関しては知識不足なのですが、NPは病院で診た患者に関しても診療報酬が出ます。ただし、給料制でその病院に雇われている限り、そのNPが直接診療報酬を受け取ることはできません。病院が代理人として受け取って、その中から給料を出すということになります。このため、medicare provider IDを申請するときに、病院を代理人に設定しなければいけません。

NPが例えば近くの内科クリニックで働いていて、自分の患者の中で入院患者が出ると、その病院内で患者を診に行くという設定にしていると、病院からは給料が出ていないので直接保険会社にNPが請求し、報酬を受け取ることができるようです。その場合、病院内で患者を診る権利 (hospital priviledge)をNPが申請して、授与されてなければいけません。YALEなどでは、「1年に__時間以上YALEの医学生・NP学生に講義をすること」などの条件つきで、hospital pviviledgeが授与されるそうです。直接病院に給料制で雇われいる場合、priviledge うんぬんは関係ありません。

ちなみに、病院では例えMedicareでも、incident to billingは許されていません。

手術の場合、hip replacement なら10日までで、いくら、というようにglobal feeで支払われるので、NPは報酬対象にはなりません。

それでもNPを採用する理由としては、
1.人件費の削減
どうせ誰か雇わなきゃいけないなら、給料が三分の一から半分で、医療事故保険も格段に安いNPの方を、という理由です。RESIDENT DRも安い労働力ですが、NPはRESIDENT DRと違って数年ごとに入れ替える手間やコストはかかりませんし、長くいればいるほどMDとの連帯もスムースに行くようになります。
2.医療安全
もし合併症を併発して、患者さんが長く入院した場合、GLOBAL FEE(1患者、1疾患につきいくら)で払われている病院としては、その人の滞在が一日延びるごとに大変なお金がかかります。NPがいると合併症の率が減るという研究などは、すでに知られています(http://www.hhnmag.com/hhnmag_app/jsp/articledisplay.jsp?dcrpath=AHA/PubsNewsArticle/data/0308HHN_FEA_NursePractitioners&domain=HHNMAG)。
3.医師の満足度を上げる
看護師よりはずっと高度な知識と権限を備えたNPがアシスタントとしいていることで、医師は安心して色々と任せられます。ROUTINEなこと、カウンセリングなどはNPがやってくれるので、専門的な医学に集中できます。時間も増えれば、満足度も上がるし、医療事故も減るでしょう、という期待もあります。こちらに日本から来た外科の医師の方がおっしゃっていた言葉ですが、「手術前のphysical examはNPがやってくれる。患者さんの質問にも答えてくれる。手術の準備もやってくれる。手術は僕がして、縫合はPAがやってくれる。術後の経過はNPやPAがみて、小さな問題なら自分たちで処理して、翌日報告してくれる。大きな問題なら電話してくれる。僕は手術だけすればいいので、定時に家に帰れるんですよ。日本にいた時とは大きな違いです」とのことです。
4.患者の満足度を上げる
このように色々な疑問に答えたり、必要な薬を医師を待たないでも出してくれるNPがいることで、患者さんの満足度も上がりますし、そうすると万が一結果が良くなくても訴訟の可能性も低くなります。

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ニューヨークタイムズ、NPとPAの記事 

NPとPAに関しての記事が先々週ニューヨークタイムズに載りました。
http://www.nytimes.com/2008/08/10/jobs/10starts.html?scp=1&sq=physician%20assistant&st=cse

内容:
NPやPAは薬の処方や患者の治療ができる。医師不足により、よりNPとPAの必要性が高まった。教育費と教育期間が短い。そのため、医学校よりPA学校などを選ぶ人も出てきている。給料も医師より安い。(記事の中で、NPの平均給料は92,000ドルと書いてありますが、AANPの統計によるとそれよりずっと低いのですが-一体どこの統計でしょうね)。
NPとPAの大きな違いは、NPは医師から(多くの州では)独立して自分で診断ができるということ。開業するNPさえいる。PAは医師のもとで働く。NPは専門を選ぶが(小児科、成人科、急性疾患科など)PAは何でもできるように(小児でも、病院でも、外来でも)トレーニングされるということ。
いまや、NP博士号というものもできた。それだと、医師でなくNPなのにドクターと呼ばれるので、患者の混乱を招くのではないかと医師は懸念する。NPはそうではないと言う。
__________________________________
やはり、こんな記事を書くぐらい、アメリカでもPAとNPに関しての認識は低いんですよね。NPやPAにかかる人は多くても、肩書きをよく見ないと医師かどうかわからないので、気づいてない人も多いし。
でもこういう記事が出るのは嬉しいこと。私は、初めて会う患者さんには「Nurse Practitionerのサヤカです」と言うので、よく、患者さんに「Nurse Practitionerって何?」って聞かれて、説明をするのだけれど、そういう患者さんは家でこの記事を読んで、あ、サヤカと同じだーと思ってくれることでしょう。


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NPに関してのインタビュー記事が出ました

メディカ出版社の二つの雑誌の9月号に、私のNPに関してのインタビュー記事が出ています。

スマートナース(一生ナースでがんばりたい人のための自己実現応援マガジン)9月号
http://www.fujisan.co.jp/product/1281682141/

ナーシングビジネス(チームケア時代の看護とビジネスの両立を追求する)9月号
http://www.fujisan.co.jp/product/1281682147/

書き方・視点が違う二つの記事ですが、このブログを見ている人にはナーシングビジネスの記事の方がいい情報が得られるかと思います。

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また、スマートナースでは10月号から、「緒方さやかのアメリカNP医療事情」というエッセイを連載させていただきます。保険会社と戦ったり、患者さんからとんでもない贈り物を頂戴したり、ラテン系のメディカルアシスタントと文化の壁の乗り越えて協力しあったり、元麻薬中毒の患者さんとは毎月(まだ麻薬に戻っていないことを)お祝いしたり、NPとしての私の日常のヨロコビとナミダを、エッセイでつづっていきます。

読んでいただければ幸いです。

先週視察したNP/PA関係者、ICUでのチームワークとは


先週(金・土)にかけて日本のマスメディア関連の人と視察した、Yale New Haven Hospital と Norwalk Hospital。

飛行機の遅れで会えなかった人もいるが、以下のような人と話すことができた。

皆、夏休み明けで激務らしく、とても忙しそうだったが、時間を作ってくれた。そこに、職業的プライドを感じる。

Yale School of Physician Assistants (PA)- 学長
Yale New Haven Hospital - 小児心臓外科長
Yale New Haven Hospital - ICU医
Yale New Haven Hospital - MICUで働く看護師
Yale New Haven Hospital - MICUで働くNP
Yale New Haven Hospital - MICUマネジャー(いわゆるHead Nurse)
Norwalk Hospital - PAレジデンシープログラム - ディレクター
Norwalk Hospital - 外科部長 (医師)
Norwalk Hospital - Surgical PA(オペのアシストと、ICUで働く)

写真は、MICUの看護師・NPチーム。とても仲が良さそうだった。NPの方は、私と同じYALEから同じ年に卒業した、同級生である。偶然会ってびっくりした。今度、皆で集まって、難しい症例について話し合ったりして情報交換しようと言った。

NPが医師から独立している外来と違い、ICUなどではNPもしくはPAと、医師との緻密なコミュニケーションが必須である。
このICUでは、医師が看護師なしにラウンドを始めると罰せられると聞いた。マナー違反とかそういうレベルの問題ではなく、患者のケアのためには医師も看護師もNPもPAも(ついでに、これを書くと長くなるのだが、Respiratory therapist,Physical Therapistも)関わる必要があるので、全員が揃ってからラウンドするのが患者の安全のためには不可欠だという。NPやPAを取り入れ始めた2005年以前からそうらしい。
そのような、多職種が協力して患者のケアを提供する土壌と今まで培ってきたコミュニケーション能力があったからこそ、NP制度が育ったのではないだろうか。



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NP視察に来るメディア関係者はどこに連れて行くか?

明日、YALE NEW HAVEN病院と NORWALK病院のPAやNPを視察するため、プロデューサーのRさんが今夜来ることになっていた。が、雷雨で飛行機は飛ばず、明日のお昼ごろ着くらしいです。

朝は7時からばりばり色々見ようと、フル・スケジュールを用意していたのだが、残念残念。まあ、そういこともありますね。

午後中病院を見て、夕方ごろ時間があったら急遽、私が週一回働いている介護ホームに連れて行こうかと思っています。あそこはある意味いつでも開いているから。いつでも歓迎してくれるし。ただ、寄ると必ず「この患者さんも具合悪いんだけど、診てくれる?」続きでなかなか出られないが。

日本でNP制度が発足するなら、一般人のNPに対しての知識(印象)が大変に大事だと思うので(医師や看護師にとって例え「いい制度」であっても、まず患者さんにとっていい制度であって欲しいので)こういうマスメディアの人がNPに取り組んでくれるのは大変に良いことだと思います。

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I. 米国のNPについて b) 歴史

1960年代に医師不足が懸念され、特にプライマリーケア医不足が予測された。

医師会はそのため、ベトナム戦争中「メディック」(保健担当の兵士)として活躍した人を集め、医師助手(physician assistant) として訓練しなおした。

また、1965年には、看護師のLoretta Ford氏とHenry Silver氏がコロラド大学において最初のNP講座を創設している。当初は、小児科の主に予防などを中心としたもので,修士号ではなかった。
Ford氏とSilver氏の報告を読みたい人は、Silver H, Ford L (1967). The Pediatric Nurse Practitioner at Colorado. The American Journal of Nursing, 67(7):1443-1444 という記事を(根性で)探していただきたい。

NPは、当初は看護協会からは「看護らしくない」「医師の真似をしないで、看護師は看護に徹底するべきだ」、医師会からは「ミニ・ドクターのふりをしている」「患者は本当の医師にかかる権利がある」と批判する声も少なくなかった。

当時の戸惑いを、ニューヨークタイムズ紙の記事に見ることができる。
1983   DOCTORS BATTLE NURSES OVER DOMAINS IN CARE
http://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9F07E6DE173BF937A35755C0A965948260&sec=health&spon=

しかし、時間が経つにつれ、NPの提供する医療の質が、医師のケアと同等又はそれ以上であるということを証明する研究が発表され、特に1994年のNew England Medical Journalに載った、NPと医師のケアの質とコストを比べた記事は、有名である。

その後、NPは修士号が最低必要な学位となったが、昔NPの講座を終了し、現在NPとして働いている人は修士号がなくても働き続けていいということになっている。

同じくNYタイムズ紙の、1997年の記事は、NPの進歩とそれに反対する医師たちを描いている。
1997 As Nurses Take On Primary Care, Physicians Are Sounding Alarms
http://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9807E2D8103AF933A0575AC0A961958260&sec=&spon=

また、医療費の高騰もあり、コストパフォーマンスに秀でているNP(やPA)がだんだん多く活用されるようになった。

2000年ごろになると、NPの人気を語る記事が多く見られる。
2000 Like a Doctor's Office, With a Little More Time
http://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=990CE5DC1530F936A15757C0A9669C8B63&sec=&spon=

現在は、NPは修士号と博士号(PhDではなく、NPの博士号で、DNPという)とあり、2015年までに全員博士号に移行するべきだと(American College of Nurse Practitioners) は言っている。

「NPは博士号にするか否か」に関してはextremeley complicated and long discusssion があるが、それは別の日に述べたい。

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ディスカッション NP・PAの名称 - なんて呼ぶ?

最近、新聞などのメディアで「スーパー看護師」という名前がついて報道されていることもあるNPですが、まだ一同が「これだ!」と納得できるネーミングは定まってないようですね。

(また、法的環境が整うまで、日本名は保留で「NP]でいいのではないかという意見もあります。日本のNPさんがそういう職権を持つかなどによって名称も違うからでしょう。)

というわけで、ここはブレイン・ストーム セッションです。

アイディア:
1)韓国みたいに、「保健診療師」

2)看護師が診断するから、「看診師」

3)高度をつけて 「高度看護診療師」


どう思われますか?


いいアイディアがありますか??
コメントをクリックしてみてください!






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I. 米国のNPについて a) NPとは

Nurse Practitioner (ナースプラクティショナー)は、「診療看護師」「開業看護師」などと訳されている。
アメリカには、医師以外にも高度の技術を持ち、独立して患者を診ることのできる医療職があり、non-physician clinician, 又はmid-level provider などと呼ばれている。この範疇にはNP,助産師、PA、麻酔看護師が含まれる。

以下は、aanp.orgから引用して個人的に訳したものである。

NPの定義とは:
NPは、プライマリーケアもしくは専門的な医療を外来、病院、または介護ホームで提供する。また、有資格者であり、独立した医療提供者である。NPとは、高度な教育と診断能力を培った看護師であり、健康促進と治療を様々な人々に提供する。修士号、Post-Masters (修士号の後で更に勉強するプログラム)、または博士号が、NPとして働き始めるにあたって最低必要な学位である。(AANP, 2006)

NPの仕事内容は:
全身の診療を行う
健康促進を行う
急性の病気や慢性病などの診断を行う
血液や放射線検査を薦め、結果に判断を下す
薬を処方する(レベルII-V)
薬のサンプルを受け取ったり、提供したりする
必要に応じて医者やほかの医療提供者に紹介する
(AANP, 2006)

日本で人に説明する時は、「要するに、町のかかりつけ医者みたいなものですよ。」と言うこともある。手術はしない(small procedures - biopsy, abcess incision and drainage, suturesはできる)が、基本的にそれ以外はそのためのトレーニングを受けたNPならなんでもできる。
(しかし、州によって大分違うことはある)

ただしMD(医師)やPAと大きく違うのは、看護哲学に根ざしているということである。
患者と、患者の家族に教育を提供する
患者が自分のケアができるようにする
健康を維持し、病気を予防する
安全な暮らしや生活環境を促進する 
医療システムへのエントリーを助ける
(AANP, 2007)

とは言っても、クリニックで忙殺されれば看護哲学の通りやるのは時間的に難しく、「薬処方してはい、next patient!!」みたいな状態になることもあるが、時間があれば、薬の処方や診察に加えてお年寄りだったら家の中で転倒防止について話したり、女性だったらDVについていちいちスクリーンしたりする。

こうやって時間をかけて話をしたせいで、患者さんの大問題を発見したりすることは、実はとても多い。(実は、薬代が高いので一日おきにしか飲んでなかった。三分の一の値段の、似ているジェネリックの薬に代えることで解決した、など)

先週、そういったことがあって、患者さんに「今まで誰もそんなことを聞いてくれなかった。あなたは、神のくれた贈り物だ」と言われた。 そういう時には、看護(NP?)哲学を誇りに思う。

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